サムエル記第二18章-2

2024年4月14日サムエル記,旧約聖書

サムエル記第二18章-2(9-18節)
=主な内容=
➌アブシャロム殺害と埋葬
=ポイント聖句=
9,アブサロムはダビデの家来たちに出会った。アブサロムはらばに乗っていたが、らばが大きな樫の木の、茂った枝の下を通った。すると、アブサロムの頭が樫の木に引っ掛かり、彼は宙づりになった。彼が乗っていたらばはそのまま行ってしまった。
17,彼らはアブサロムを取り降ろし、森の中の深い穴に投げ込み、その上に非常に大きな石塚を積み上げた。イスラエルはみな、それぞれ自分の天幕に逃げ帰っていた。

=黙想の記録=
➌9-18節:アブシャロム殺害と埋葬・・・負け戦であることが判明するとアブシャロム軍は蜘蛛の子を散らすようにエフライムの森の奥へと逃げ込みます。総司令官であるはずのアブシャロムも森へと身を隠そうと入り込みます。ラバの体高は約1m人の座高は約0.9m。すると地面から2mほどになります。そこに来てエフライムの森に繫茂する樫の木やバルサム樹の枝は縦横無尽に生え出ているのです。こんな高い位置で移動すれば当然枝に頭が絡まるのは当然なのです。しかもアブシャロムは兜を被れないほど髪の毛で頭の容積が多くなっているのです。ラバは逃げアブシャロムは枝に宙づり状態になっているのです。何と皮肉なことでしょう。自慢の髪の毛でしたが今や自分の命運を尽きさせる大きな障害物になってしまうのです。ダビデの忠実な部下の一人がアブシャロムの状態を上官ヨアブに報告します。このヨアブの言葉は耳を疑うものでした。『11,ヨアブは、「な、なんだと! やつを見つけて、どうして殺さなかったのだ。たくさんの褒美を取らせ、将校にでも取り立ててやったのに」と言いました。』ヨアブはダビデがアブシャロムの延命を嘆願した言葉を聞いてどう思ったのでしょう。ヨアブは確かに国家安寧の為に正義を貫き通す人物です。ですから主人イシュボシェテを容易に裏切るようなアブネルはダビデ王を必ず裏切ると思い弟の血の復讐を口実に殺害に踏み込んだのです。またウリヤ殺害の件についても彼を見殺しにしようとするダビデの意図が分からなくても国王の命を忠実に遂げようとしたのですが結局ダビデの私情に利用されただけだったことを後で知るのです。ヨアブは随所でダビデ王に非情な取り扱いを受けていると感じて来たのです。冷酷なほどまでにヨアブは国家に忠実な人物です。しかし主なる神様の御心に忠実であったと言うわけでは無かったのです。ですから他の臣下の様に主なる神様が選ばれたダビデの心に寄り添う気持ちはすでになくなっていたのです。ヨアブの胸中には「今回のアブシャロムの騒動でイスラエル同胞が20000人も命を落としている。この大罪を犯した殺人者アブシャロムは死をもって償うべきだ。ダビデ王はソロモンを後継者と決めている。ダビデ王が我が子を思う私情で今回も赦免するようなことがあれば、アブシャロムは何度もクーデターを起こすに決まっている。故にダビデ王の意思に反しても殺害すべき。これはダビデ王自身の利益にもなる。」という正義感が燃えていたのです。しかし末端の兵士に今までの経緯など知る由もなかったのです。「12,どれほどご褒美が頂けましょうとも、そんなことはごめんです。私たちはみな、王様が指揮官のお三方に、『私に免じて、若いアブシャロムに手を下すのだけはやめてくれ』とお頼みになったのを聞いたのですから。それに、もし私が命令に背いて王子様を殺したとして、そのことが王様に知れた場合、将軍、あなた様が真っ先に私を非難なさるのではありませんか?」(リビングバイブル)』ヨアブの提案にのってアブシャロムを殺害すればそれこそが反逆罪です。仮に殺害したとしてもヨアブは自分に責任転嫁してくるという疑念が湧いていたのです。ヨアブの国家への忠義など分かる由もなかったのです。そこでヨアブは自らアブシャロムを殺害するのです。「14,ヨアブは三本の槍を取り、宙づりになったまま息も絶え絶えになっていたアブシャロムの心臓を突き刺しました。(リビングバイブル)」とありますが、この三本の槍には次の意味が込められていると思うのです。「第一の槍はは国家騒乱罪の為」、「第二の槍は親族殺人と近親相姦の為」、「第三の槍はイスラエル同胞20000人の罪なき者の命を奪った罪の為」です。この三つの大罪に対して「主なる神様の裁き」の代行をヨアブ自らが行ったという意味に捉えることができるのです。更にご丁寧にも「15,ヨアブの道具持ちの十人の若者たちも、アブサロムを取り巻いて彼を打ち殺した。」とあります。十人の兵はヨアブと同罪になってしまうのです。ヨアブに命じられたからではなく彼らの自由意思によるものです。彼らはヨアブの共感者だったのかもしれません。つまり、アブシャロム殺害はヨアブだけの意思ではなく他の多数の兵の総意でもあったことを示すものだったのです。「16,ヨアブが角笛を吹き鳴らすと、兵たちはイスラエルを追うのをやめて帰って来た。ヨアブが兵たちを引き止めたからである。」敵将を討てば戦いは終了するとヨアブは踏んでいます。角笛を吹き鳴らしたのは戦闘が終了したことの合図です。これ以上無益な戦いをさせないというヨアブの意思の表れです。「17,彼らはアブサロムを取り降ろし、森の中の深い穴に投げ込み、その上に非常に大きな石塚を積み上げた。」とありますがあまりにも乱暴な埋葬です。ダビデの元に遺骸を持ち運べばその残虐な死に様を見てダビデに深い悲しみを起させ同時にヨアブ達に対する憎悪が増幅されるのは必至だったからです。深い穴に投げ込み石を積み上げる行為は犯罪者に対する埋葬方法です。「18,アブサロムは生きていた間、王の谷に自分のために一本の柱を立てていた。「私の名を覚えてくれる息子が私にはいないから」と言っていたからである。彼はその柱に自分の名をつけていた。それは、アブサロムの記念碑と呼ばれた。今日もそうである。」と作者はアブシャロム自身が立てた記念碑のことを挿入しています。しかしこの記念碑は逆にアブシャロムの不名誉な行いの象徴となり、ヨアブがエフライムの森にこの粗雑な墓(犯罪者の墓)をもうけることで近親者も関係者も決して墓参できないようにしたのです。
【追記】
◆アブシャロムの一生をまとめてみます。・・・①アブシャロムは光り輝く王子でした。②父ダビデはソロモンを次期継承者としていることに我慢ができず父をエルサレムから追放するべく画策します。民意を我が物にするために宮殿入り口で父に代わって民の訴えに対応するのですが、その本当の目的は父である国王の人気を落とし我が物にするためでした。③父である国王とその臣下に逆らい武装蜂起しエルサレムから父をしばし追放します。④父の軍勢と一戦を交えますがすぐに滅ぼされます。⑤穴に投げ込まれます。
◆このプロセスはこの世の君と呼ばれるサタンと父なる神様の攻防の様子に酷似していると思いませんか。・・・❶サタンは光り輝く天使でした。❷しかし次期継承者は神の御子であるイエス様です。この御子無きこの世の建設の為人類の歴史に破壊と悲惨をもたらしてきました。破壊と悲惨は創造主でもある父なる神を人類に呪わせることに成功しています。➌終末サタンは主なる神様に反旗を翻します。❹ハルマゲドンで世界を巻き込んだ大戦を行いますが一瞬で負けてしまいます。❺底知れぬ穴に投げ込まれます。こうして人類はサタンの支配から解放されるのです。正にサタンへの預言と見ることができるのです。

Posted by sakaihc