No.2「対応表方式」
《素人の聖書黙想法》No.2「対応表方式」
=対応表を作り、登場人物の言動を比較していく=
【根拠となる聖句】
①対応表を作り、登場人物の言動をそれぞれ比較対照して箇条書きに書き込みます ②比較して分かったことをさらに付け加えていきます この手法を「対応表方式」と呼んでいます。 さて、その「対応表方式」で学んだ例を挙げておきます。 |
Ⅳ.ラザロと金持ちの譬え 19~31節
金持ちとラザロを対比させてみる
《対応表の作り方》
※部分が黙想部分です ①二者を比較して思いつくこと気づいたことを列記していきましょう ②黙想していて思い出した他の聖句も上げておきましょう |
対比項目 | 金持ち | ラザロ |
生前の様子① | いつも紫の衣や細布を着て ※王家の人々が着るほどの衣服を金で集めていた |
門前にラザロという全身おできの貧乏人が寝ていて、 ※栄養失調が原因の病気 |
生前の様子② | 毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。 ※快楽主義 |
金持ちの食卓から落ちる物で腹を満たしたいと思っていた ※極端な貧困=社会からの隔絶 |
生前の様子③ | 実際にはラザロには食料を提供していない。 ※憐みの心がない=利己的 |
犬もやって来ては、彼のおできをなめていた。 ※他者が関わっていない=孤独 |
埋葬の様子 | 葬儀があった。 ※二度埋葬の習慣があった(月間いのちのことば) ※一族が保有する洞窟に安置される※葬儀はステイタスを高めるための道具になっている。 |
葬儀がない。 ※遺体の取り扱いがないが、おそらく火葬または放置されている ※救いに預かる者にとって「死」は単なる通過点にすぎない |
死後の世界 | ハデス =ギhadēs(ハデス) …Orcus(オルクス))ローマ神話に登場する死の神。低い土地・死者の領域・墓・死・地獄 苦しみながら ※感覚がある ②目を上げると、アブラハムが、はるかかなたに見えた。しかも、そのふところにラザロが見えた。 ※御国の住人が見えるほどの距離にありながら、隔絶されている |
①御使いが連れていく ※自分では移動できない。案内者がいる ②パラダイス(ルカ23:43) =アブラハムのふところ =ギkolpos(カルパス) 「天」ルカ6:23 「父の懐」ヨハネ1:18 「イエスの右側」ヨハネ13:23 「入り江」使徒27:39 ※安心・安全・平安が確約されたところ |
アブラハムの評価(生前) | 良い物を受け、 =ギagathos(アガサース) |
悪い物を受けていました =ギkakos(カカース) |
アブラハムの評価(死後) | 苦しみもだえている =ギbasanos(バサナス) 真実を明かす拷問の道具・拷問、苦痛、急性の痛み 「痛み」マタイ4:24「苦しみの場所」ルカ16:28 |
慰められ =ギparakaleō(パラカレオ) 懇願する・慰めによって励ます |
【まとめ1】
①ユダヤ教では貧困者に施すのは当然の義務(申命記15:7)だったはずだが金持ちは責務すら感じていない
②生前はラザロは社会と隔絶されていたが、死後は金持ちが隔絶された世界に放置される。
《まとめの作り方》
①対応表から気付いて事・導かれたことを列記していきましょう ②今の自分に適応できるところがあればそれをメモしましょう。 |
アブラハムと金持ちの会話を比較する
比較項目 | 金持ち | アブラハム |
願いとその回答① | ラザロが指先を水に浸して私の舌を冷やすように、ラザロをよこしてください。 ※ラザロは使用人ではない |
私たちとおまえたちの間には、大きな淵があります。ここからそちらへ渡ろうとしても、渡れないし、そこからこちらへ越えて来ることもできないのです。 ※隔絶された場所にいる |
願いとその回答② | ラザロを私の父の家に送ってください。 | |
願いとその回答③ | 私には兄弟が五人ありますが、彼らまでこんな苦しみの場所に来ることのないように、よく言い聞かせてください | 彼らには、モーセと預言者があります。その言うことを聞くべきです。 |
願いとその回答④ | だれかが死んだ者の中から彼らのところに行ってやったら、彼らは悔い改めるに違いありません。 | もしモーセと預言者との教えに耳を傾けないのなら、たといだれかが死人の中から生き返っても、彼らは聞き入れはしない。 |
【まとめ2】
①「指先の水」と「食卓から落ちる物」
※どちらもほんのわずかなことを表現している言葉。生前ラザロへの同情の片鱗もなかった金持ちが、死後ラザロを介して憐みを求めている
②金持ちは死後の状態を全く理解していない。死者は幽霊にならない。死者は別の世界に移動している。
③使者として使わされる死者のメッセージは本来「神への悔い改め」のはずだが、「苦しみの回避」だけを懇願している
④モーセの律法と預言者の預言の真意(メシアの存在)を理解しようとしない者が、死から甦ったイエス様のことを見ても、信じることができるはずがない。
【この章のまとめ】 ①15章から引き続き「失われている者」言及の箇所だが、視点を「パリサイ人や律法学者」に替えている。つまり、ユダヤ教の専門家である彼らこそ「失われている者」であることをこの章では教えているのではないだろうか。 ②死後は「無」になる「感覚のない世界」となるとの教えに真っ向から反論している。 ③この世の尺度は死後の世界を決めるスケールに絶対ならないことを教えているのではなかろうか。 |