サムエル記第二19章-1

サムエル記,旧約聖書

サムエル記第二19章-1(1-8節)
=主な内容=
❶ヨアブの諫言
=ポイント聖句=
6-7,,あなたは、あなたを憎む者を愛し、あなたを愛する者を憎まれるからです。あなたは今日、隊長たちも家来たちも、あなたにとっては取るに足りないものであることを明らかにされました。今、私は知りました。もしアブサロムが生き、われわれがみな今日死んだなら、それはあなたの目にかなったのでしょう。さあ今、立って外に行き、あなたの家来たちの心に語ってください。私は主によって誓います。あなたが外においでにならなければ、今夜、だれ一人あなたのそばにとどまらないでしょう。そうなれば、そのわざわいは、あなたの幼いころから今に至るまでにあなたに降りかかった、どんなわざわいよりもひどいものとなるでしょう。

=注目聖句=
7,さあ今、立って外に行き、あなたの家来たちの心に語ってください。(新改訳2017版)
7, さあ、今、外に出て、兵士に勝利を祝ってやってください。(リビングバイブル)
7, Now therefore arise, go forth, and speak comfortably unto thy servants.(KJV)[直訳]それゆえ、今起きて、出て行き、あなたのしもべたちに安らかに語りかけましょう
7,アタ[今]・クンム[起き上がり,立ち上がり,力強く]・ヤツァー[外に出る] ダべール[話しかける,約束する]・レイブ[心から,理解を持って,決意を持って] アル[上に]・エベッドゥ[しもべ,召使]


=黙想の記録=
❶1-8節:ヨアブの諫言・・・アブシャロム30才で死亡。紀元前979年。ダビデ61才の時の出来事です。本来なら戦いに勝利したわけですから戦勝祝いで喜びと感謝を持って兵達を迎えるべきです。ところがダビデはアブシャロムの訃報を聞いて部屋に閉じこもり悲嘆に暮れているのです。悲嘆に暮れる父親である前に国王として感情を押し殺してまでも毅然とした態度を取るべきだったのです。「2-3,王が息子のために嘆き悲しんでいると知って、その日の勝利の喜びはどこかに消え、みな深い悲しみに包まれました。兵士たちは、まるで負け戦のようにすごすごと町へ引き揚げました。(リビングバイブル)」とあります。「仮に喜び勇み歓声を上げながら帰還したらダビデ王はあたかも自分たちを王の命令に背いた一種の犯罪者の様に思うであろう。愛する息子を殺すことに手を貸した者達としていつまでも嫌悪することだろう。」ダビデ王の様子を慮り(おもんぱかり)まるで負け戦の時の様に意気消沈して戻ってきたのです。勝ち誇る姿を身内にも見せたかったはずです。また兵を送り出した身内の者も歓声を上げて迎えたかったことでしょう。命がけで戦って来た兵達やまた民衆もやがて不愉快な気持ちに駆られて来るのは目に見えているのです。ヨアブはすぐにダビデの元に馳せ参じ以下の様に進言をするのです。ヨアブの進言をリビングバイブルに沿ってまとめてみます。ヨアブの進言は本当に正しい内容です、しかし言葉の中に「主なる神様への信仰」に関する内容が全くないのです。
[1]「5,私たちは今日、あなたのおいのちをはじめ、王子様や王女様、奥方様や側室方のおいのちをお救い申し上げました。それなのに、あなたは嘆き悲しんでおられるばかりで、まるで私たちが悪いことでもしたかのようです。兵たちは全く恥をかかされました。」・・・仮にアブシャロム軍が勝利したなら、ダビデ王本人だけでなくダビデに同行して逃亡して来た王妃たちや王子や王女まで必然的に虐殺されたことでしょう。さらにはダビデ王を慕って付いて来た臣下やその家族たちも剣に欠けられるのは目に見えているのです。
[2]「6,あなたは、ご自分を憎む者を愛し、ご自分を愛する者を憎んでおられるようです。あなたにとって私たちなど、取るに足りない者なのでしょう。はっきりわかりました。もしアブシャロム様が生き残り、私たちがみな死んでいましたら、さぞかし満足なさったのでしょう。」・・・ダビデ王の態度はダビデ王を慕って命がけで従って人々の心を蔑ろにしていると映るのです。更には息子アブシャロムを殺した犯罪者であり同胞を意味なく殺した殺人者とでも見なしているのでしょうか。アブシャロム軍への勝利は無意味だったとでもいうのでしょうか。いっそのことアブシャロム軍が勝利し私達が虐殺されれば良かったのでしょうか。・・・ヨアブはかなり強い発言をしているのです。ダビデ王に悔い改めを迫る預言者のようです。
[3]「 7さあ、今、外に出て、兵士に勝利を祝ってやってください。」・・・「勝利を祝ってやってください」は新改訳2017版では「家来たちの心に語ってください」となっています。形式的ではなく心を込め親しみを込めて感謝し、褒め称えてくださいとの意味です。
[4]「7,主に誓って申し上げます。そうなさいませんなら、今夜、すべての者があなたから離れていくでしょう。それこそ、ご生涯で最悪の事態となるかもしれません。」・・・民の失望はやがてダビデ王から急速に離れ、国民から見捨てられていく要因になります。アブシャロムが急速に発展を遂げることができたのはアブシャロムに味方する者=ダビデ王に反対する者が多くいたことの証拠となります。第二第三のクーデターが起こる可能性があるのです。
💖ダビデの問題は「何を知っているかではなく何を忘れているか」にあるのです
①アブサロムの悲劇的な死を知り悲嘆に暮れていること
②以下のことを忘れ去っていること
[1]主なる神様に委ねた戦いであったこと
[2]主なる神様の大いなる介入があり勝利できたこと
[3]ダビデ王を慕う多くの臣下や国民がいたこと
[4]不利な状況にもかかわらず多くの忠実な支援者がいた
[5]アブシャロムの死は自分の犯した大罪の代償であること

Posted by sakaihc